カリブ海にて考え中 Thinking something in Caribbean

豪華客船で起こる色々な事。

33歳になって


ダイアモンド・プリンセスに乗船して4ヶ月、先月で33歳になりました。
豪華客船で誕生日を過ごすのはここ5年で4回目です。今はタスマニアからオーストラリアのメルボルンへ向かっています。
ディズニークルーズからプリンセス・クルーズに変わって最初
あぁ、もうここにはミッキーはいないんだなぁ
っていう喪失感みたいなものが最初はありましたが徐々になれてきました。
大体冬が嫌いなので冬に契約をもらって避冬しているので誕生日、クリスマス、ニューイヤーは船で過ごすのが恒例になってきました。

33歳の実感を色々まとめてみました

 

 

 

年齢感覚について


自分が中学生だった頃や、高校生だった頃に33歳だった大人を今思い出してみると
めっちゃおっさんやなー
とあの頃は思っていたけど、今自分がその年齢になっても全くその実感がない。


僕にはいとこがいなくて、周りに小さい子供がいないので子供と触れ合う機会がほとんどなく子供からみたら自分はもう立派なおっさんなんだろうけど、自分自身の実感として年齢を感じる事はほとんどない。


子供の頃の自分にとっておじさんになっていく事とは太ることや、髪の毛が薄くなっていく事、または髭が濃くなる事と思っていたが、今のところ相変わらず肌も荒れないし、生え際の後退もみられないので頭から爪の先まで石鹸一つで洗っている。髭が濃くならないのが少し残念だけど濃かったら濃いで毎日髭を剃ったりとか大変そうなのでまぁいいかと思っている。

スパの同僚は大体20代の人たちだけど、その人達とくらべて自分は歳だなーと思うのは頻繁にクルーバーに行ったり、パーティーに出たりしない事くらい。

話は変わるけどこれからはもうみんな歳をとらないのではないかと思っている。というのもAIが発展していき、僕がFacebookやこのブログ、また親しい人と交わしたLINEの内容をディープラーニングにかけて僕のような返答や発言をすることが可能なボットのようなものが作られる事は確実にやってくる未来なので、そういう意味ではこれからもう人は死んで肉体は果てたとしてもその人の思考や発言は生き続ける未来というのがやってくると思っている。


そうすると何をもって死ぬということなのかますます複雑になってくるが、人類総不老不死時代が近くやってくると思っている。


余談だけど今Netflixのブラックミラーというドラマにハマってて、これは海外版世にも奇妙な物語みたいな話なんですけど、その中のエピソード
“ずっとそばにいて”

http://vod.hatenadiary.jp/entry/black-mirror2-1


という話でも恋人を事故で無くした主人公が友達に進められ、生前の恋人の発言をSNSからクラウドにアップし、死んだ彼とチャット出来るようになり、それをきっかけに次は動画データから音声をアップし電話が出来るようになり、最終的には肉体まで錬成する鋼の錬金術師のエドとアルもビックリな展開になっていくのだが、死んだ人と電話する事くらいまでは可能な未来で、確実にやってくると思っている。

 

 

 


仕事について


鍼灸師という仕事、人を治すという仕事については非常にやりがいもあり楽しい。


ただこれからやってくる時代は病気をどう治すかよりも、どうやったら病気にならないかの方が絶対重要で、それに関しては東洋医学や鍼灸は得意分野なので、遺伝子関連の研究と共にそちら方面の研究がもっと伸びてくれればいいなと臨床の現場からは思っている。


ドラクエのダメージで例えると
ホイミ的な西洋医学と、スクルト的な東洋医学っていう感じ
ダメージを受けてから回復するのではなく、ダメージを受けない事。


スクルトの様な補助系魔法の方がボス戦では大事なように、医療も今後このように変わっていくと期待している。


何はともあれもう鍼灸師になって10年になり、人を治すという事についてブレずにやれているのは結果向いているんだと思っている。

 

最近臨床では良い治療をしようと思うのは前提として、患者さんと関係性を築く事に昔より神経を注いでいる。それは関係性を築いた方がプラセボ含め、鍼の効果が出やすいという独自の主観に基いている。


治療に関してはほとんどが局所治療で主に「ネッター解剖図譜」f:id:muranak:20180302080710p:image、「図説 筋の機能解剖」f:id:muranak:20180302080723p:imageをIpadに落として患者さんと一緒に見ながら
痛みが出てるのはこのあたりで、ここにはこの筋肉の腱が走ってるからこの筋肉緩めてみましょうかー
って言う感じでやっている。


当面の目標は今治療している患者さんのデータを取っていき、どういった分野の治療に自分は強くて、どういった分野が弱く、治らなかった人にはどういった共通点があったのか可視化していく事が必要だと思っている。


働く現場としてはもう少し豪華客船でいいかなと思っていて、今回のコントラクトからほとんど頑張らないことを目標に契約をこなしてるのだけれど、それでも幸い結果が付いてきているので、人の前に立って話さないといけない機会が多かったり、コミュニケーション言語が英語の中でも次第に慣れてきて、自分らしくいれるようになってきているのかなと嬉しく思う。

 

 

 


お金について


貯金はほとんど無い。昨年調子に乗って治療院を2つもオープンさせたせいもあるけど、稼いでいる額からは想定できない程貯金が無い。

ただ個人的には貯金ってあまり意味が無いと思っていて、貯金するくらいならもっと海外に行ったりとか、自分自身の技術や知識に投資したいと思っている。僕ら治療家の場合、それがわかりやすく患者さんの反応として返ってくるのでそれはありがたい。


今後も役に立ちそうだと思えばひょいとミャンマーの僧院に修行しに行ったり、アイスランドでフェルデンクライスメソッドの勉強会に参加したり、どんどん体や心について興味のある事に惜しみなくお金を使っていきたいと思っている。


船で働きたい日本人鍼灸師さんの勉強会の講師を何回かやらしてもらって思ったのが、売れる人はやっぱり治療が好きだし、良い意味でマニアックだ。船では1週間でトータル大体100回以上患者さんを治療するわけで、もし治療が嫌いならそれはとても苦痛だと思う。

 

もちろん船での仕事の結果は人前に立ってプレゼンやセミナーをする営業力と、実際治療する能力の足し算で決まるのだが、もし治療能力が低ければ商品価値のないものを売る営業マンのような辛さを味わう事になるし、治療能力が高くて営業力が弱ければ、本当は自分の治療技術で救える患者さんはたくさんいるはずなのに怠慢という事になってしまう。


なのでこれからも貯金するくらいならバンバンお金を使って技術を磨いていきたい。

あとはもっと金融商品にお金を回していきたい。このコントラクト中に円高が進行し、ドル建てでお給料が振り込まれる僕にとって痛かったけれど、それと同時にドルを500万円程空売りしてたので、円高になった分の損失を防ぐことができた。
投資信託とか仮想通貨とか、金融知識ももっとこれから勉強していきたい。

今現在会社からもらっている給料に不満は無くて、むしろ豪華客船での鍼灸師の仕事のコミッションが他の職種と比べ若干高すぎるような気がしている。鍼灸師の上位売上Top3に入ると船で働いているクルーの中で、キャプテンの次に稼いでいるのが鍼灸師という船も少なくない。もちろん自分の技術には誇りを持っているし、誰もがそんなに稼げるわけではないけれども、他のマッサージセラピストや美容師さんの同僚と比べ破格に待遇が良い。


もし世界中の鍼灸師の中でもっとこれから船での仕事をやりたい人が増えて来た場合、会社側としてはコミッションを下げてそれでも働きたい人だけという選択肢もあるだろう。


ただそうすると高額納税者の税率が高いと稼ぐ人はどんどん他国に逃げていく原理と一緒で、優秀な鍼灸師(ここの場合数字を残せる鍼灸師)はどんどん他の会社に逃げていくのだろうか。


あとはもちろんいったいいつまで会社に雇ってもらえるかわからないという不安は全くないわけでは無い。急に
君は成績が良くないから次のコントラクトは無しね。
と言われる可能性も十分にあるので、そこは会社に置いてもらえるだけのそこそこの成績と自分のストレスを天秤にかけて、これからもうまくやっていきたいと思っている。

 

 

 


人間関係について

 


日本での友人関係が船で働き始めて随分減った分、船で働いている人たち同士のコミュニティというのが新しく出来た。


今回のクルーズは日本人のクルーが100人くらいいるので、仕事が終わってからもみんなで人狼ゲームをしたり、ボードゲームをしたりして楽しんでいる。


一人でいる時間が長すぎる事は精神衛生上良くないと3コントラクト目くらいから悟った。


自分のようにどんなに一人が好きな人でも人間はやはり社会的な生き物なので、人や社会と関わりをどこかで求めている。ケアマネの仕事をしたおかげで一人でいるのが好きな自分も含め、こういった前提が間違ってない事を教えてもらった。


総じてこのコントラクトは本当に自分らしく過ごせている。(日本人クルーが多くいる特殊な船というのは関係しているのかなぁ)自分らしくっていうのを少し掘り下げると
“他人と比べない事”
“自分の価値観で人を判断しない事”
の2つで、この2つを実践していると本当に毎日が楽で、結果自分にめっちゃメリットがある。実際これらがどんどん実践されていくと
人を自分の主観で判断しなくなる→自分も人の目を気にしておっくうになることが無くなる→本来自分のもってる可能性やポテンシャルを最大限に発揮できるようになる
という好循環が生まれる。

みんな違って、みんな優勝。これは今自分が一番ハマっている言葉。
この前同僚に
Everyone is different, everyone is champion!
って言ったらハァ?って顔をされたけど、今後もこういう風に生きていきたい。

 

 

 

最後に

 


20代前半、千葉の銚子に旅行へ行った時思ったのが
銚子の高台からの海の景気が綺麗で、穏やかな風が吹いていて、自分は将来こういう海の近くで開業して、口は悪いけど根は優しい患者さんに揉まれながら、ワイワイとした毎日を過ごすんだろうなー
なんて漠然と思っていたけど、まさか海の近くどころか、海の上で働く事になるとは全く思わなかった。まだまだ英語で苦労する事はたくさんあるし、数字のプレシャーを感じる事もあるけれど、自分はこの世の中で一人しかいないという事だけですでに価値のある事だという事を前提に、別にポジティブでもなく、ネガティブでもなく自分らしくやっていけたらと思っている。

久々に長い文章が書けて、半年ぶりにブログを更新出来たのもお客さんがSea Dayなのに全然いないおかげ。
根拠のない自信を持ち続けるにはこれからもバンバン行動して、バンバン失敗して
でも結局大丈夫だったねー
っていう経験を蓄積していくだけ。

f:id:muranak:20180302081046j:image

うん、今暇だけどきっと結果何とかなる

 

https://www.amazon.co.jp/私たちは豪華客船で旅をしながら仕事する-メイド・イン・ジャパンのおもてなしを世界へ-Village-出版-Ryota-ebook/dp/B076D5ZWPH