カリブ海にて考え中 Thinking something in Caribbean

豪華客船で起こる色々な事。

船上のメリークリスマス

メリークリスマス!

どうもリョウタです。

来月より新しい船への出向が決まり、カリブ海へ行くことになりました。

このブログのタイトルにあるカリブ海へは3回目の契約で行って以来、次が6回目の契約なのですが久しぶりになります。

このブログを開設した時は4回目の契約中、ディズニークルーズでヨーロッパにいた時で、それ以降プライベート含めカリブ海へは一切行っていないので、カリブ海で考え中というこのブログは実はタイトル詐欺です。

一度もカリブ海で記事を書いた事はありません笑

 

しかし今回久々にカリブに戻れる事になりましたので心機一転、もう少し更新頻度もあげていけたらなーと思っておりますので、いつも読んでくださっているみなさん、これからも小指の爪の先程度に気にかけていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

 

 

 

さて今日はクリスマス・イブということでクリスマスの豪華客船で起こった事件について書いて見ようと思います。

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 スパのみんなと

 

 

 

 

 

 

海外ではシークレットサンタという風習があるのをご存知だろうか?

 

下記のような形で各々のサンタを抽選で決め、クリスマス会を進行して行きます

 

1.まず自分の好きな色や歌手、趣味などをウィッシュリストと呼ばれる紙に書いて、みんなで壁に貼る。

 

2.みんなでクジを引き、誰にプレゼントをあげるか(誰のサンタクロースになるか)を決める。

 

3.クリスマス回当日までに、サンタはプレゼントをあげる人のウィッシュリストを見てプレゼントを検討、購入する

 

4.クリスマス会にてプレゼント交換会が始まる

 

こういった手順でシークレット・サンタは行われる。

 

日本ではあまりこういったクリスマス会に行ったことがないのだがそれは僕が極度の人見知りで子供会や、地域の行事にほとんど参加しなかった事が原因なのかは定かではない。

 

ここにも国民性ならぬ“国籍性”が出ていて、具体的な商品の名前を書かないようにしている人もいれば、中にはこれ以外のモノはいらない!とばかりに具体的な商品名を書く人もいた。

 

僕が当時仲の良かったイギリス出身のサラはこのシークレットサンタについて悩んでいて、ある日こう相談された。

“私はシーラのシークレットサンタなんだけど、彼女のリストにBOSSのBluetoothスピーカー以外はいらないって、はっきり書いてあるわ。200ドルもするものだし、どうしよう…”

確かにシークレットサンタの予算は50ドル前後とみんなで決めていた。

 

しかしフィリピン出身のシーラのウィッシュリストには下の方にはっきりと

“50ドルをでた分の差額は必ずお支払いする。”

とも書いてあった。

僕はサラにシーラはちゃんと支払いしてくれるから問題ない。彼女を信じてお金を建て替えスピーカーを買うべきだよと勧めた。

 

 

 

そしてクリスマス会が差し迫ってきたある日、サラがプレゼントのスピーカーを買うのを同行してほしいというので、僕は一緒に出かける事にした。

カリブ海に浮かぶセイントマーティン島にショッピングセンターがあるのでそこへBOSSのスピーカを探しに行くことにした。

 

余談だがこのセントマーティン島というのは非常に面白い島で、島の北半分はフランス領でフランス語が通じ、下半分はオランダ領でダッチが通じる。

 

カリブ海の小さい島は往々にしてアメリカやヨーロッパ諸国に占領されているのだが、その中でもドミニカやジャマイカのように独立した国もあれば、バルベイドス、ケイマン諸島、このセントマーティンのように今でも占領下の島もある。

こういうのは調べてみても面白そうだ。

 

 

ちなみに余談の余談だがオランダは世界的にネザーランドという名前で認知されている。

まだ船で働き初めて間もない頃、同僚に必死に

「オーランダ!だからオーッラ゛ァンダだよ!」

と出川イングリッシュ並に必死に舌を巻いたりして頑張ってみたが全然伝わらず、その時に学習した。

これは日本が英語圏ではJapanであるのと同じように、オランダにも俗称としてのHolland(発音はホーランドに近い)というものがあって、それがなまってオランダになったとされている。

オランダにしても、ティッシュにしてもこっちが英語だと確信して使っているいわゆる和製英語は時にその単語を知らないよりもタチが悪い。

 

 

セイントマーティンに話を戻すと、世界一危ないビーチとして有名なマホビーチがあるものセイントマーティンだ

 

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 マホビーチにて

 

 

そして僕達はセントマーティンのショッピングセンターに向かい、幸いそこに探していたBOSSのスピーカーがあった。

クリスマス会の日も迫っていたし、サラは当然買うものだろうと僕は思っていたらそこでもお金を返してもらえるかわからないという理由で買うのをグズっていた。

そこに当事者のシーラがたまたまそのお店に入店してきたのが見えた。

僕はグズっているサラを見て

“もうそんなに気になるならシーラに直接聞いたらいいよ。きっと彼女も悪い気はしないと思う。”

とサラに言った。

しかしこの助言が後々最悪の結果を生むことになろうとはこの時全く予想もしていなかった。

サラはシーラに直接、スピーカーは買ってもいいけど差額の150ドルに関しては返してもらえるの?と正直に尋ねた。

それに対してシーラは気を悪くすることなく

 

“もちろん。仲間を裏切るわけ無いわ”

 

と笑顔で答えた。

しかしその返答を聞いても購入を決めかねているサラにシーラはだんだん苛立っていき

 

“もう私のことが信じられないのなら、何も買わなくていい。仲間にも信じてもらえないし、シークレットサンタはバラされるし、最悪の気分だわ。”

 

とシーラは怒り始めた。サラも

 

“私はあなたと違ってマッサージセラピストじゃないから、そんなにお給料をもらっていない。それにシークレットサンタは通常こういうものじゃなくて、相手から何をもらっても喜ぶもの。そもそもこんな具体的に高価な商品をあげてる時点でおかしいわ!”

 

と言って怒り出してしまった。

あわあわと狼狽している僕を尻目に、お互いはそこからさらにヒートアップし、ショッピングモール内で壮絶な罵り合いが始まった。

 

結局その場を何とかおさまったのだが、その後サラと二人で入ったレストランでも彼女の怒りは収まらず

“イギリスではこんな事ありえない。愛が足りない”

“私はフェイシャリスト(美容)だから彼女よりお給料安いのよ!”

とか、挙句の果て

“リョウタに相談するんじゃなかった”

とかまで言われ

僕はこのまま何ともなかったかのように二人にいざこざからファーアウェイしようと思っていたのだが、どうもそうはいかない事に気づき始め結局僕は問題を解決するため、サラにシークレット・サンタの交換を提案した。

 

“僕がシーラのシークレット・サンタになるから君は僕が渡す予定だったプレゼントを渡せば良いよ”

 

とつげた後も、サラは僕にBOSSのスピーカーを買うことはシーラの今後の人生にとって良くない的な事を言ってきたが、僕はそれを華麗にスルーしスピーカーを購入した。

 

 

女性が30人揃えばそれだけでもその組織運営を円滑に行うのは大変だと思うが、国籍が違えばその複雑さは難解を極める。

当時のスパの勢力図はフィリピーナと南アフリカ勢が10人ずつくらいで大半を占めていて、第三勢力としてジャマイカを始めとするカリブ海出身のメンバーで構成されていた(もちろん日本人は僕一人)

 

サラはイギリス人だったがこの事件でフィリピーナ勢力との溝を深め、南アフリカ勢に加担していた。

どちらにつくでもない優柔不断な僕はとりあえず平和なエストニア人と仲良くしていた。

 

 

 

結果としてクリスマス会当日までシーラの機嫌が回復する事はなく、彼女はクリスマス会をボイコットした。

僕が買ったボスのBOSSのスピーカーはクリスマス会当日誰にももらわれる事なく、キレイに包装されたまま寂しげにぽつんと最後までみんなの輪の中心に残っていた。

 

事情を知っている大多数のスパメンバーが固唾を飲んで、真ん中に残ったプレゼントを見守っている中、僕はなんとも言えない居心地の悪さと

外人が空気を読んでいるぞ!

と変に意外な所に関心していた。

しかしその沈黙を切り裂くようにそんないざこざが起きているとは知らない第三勢力のジャマイカ人が能天気に

“これ誰のプレゼント?!まだ残ってるじゃん!私もらっちゃおうかなー!ガハハ”

と言って、ちびまる子ちゃんの山田ばりの能天気さで僕の傷口に塩をぶっかけてくる。

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結局セルビア人のマネージャーがみんなに見つめられるプレゼントをそっと別室に移動させ、クリスマス会はお開きとなった。

 

後日談としては、サラと親しかった僕はフィリピーナコミュニティから敵とみなされ、和解してシーラがこのスピーカーを受け取るまでの数週間、総スカンをくらってしまった。

 

 

 

 

 

確かにフィリピン人は少しお金にルーズな所もある。

僕自身の経験としても貸したお金が返ってこないという事はたくさんあった。

それを心配したサラの気持ちのわからなくはない。

 

そしてサラの母国イギリスではきっとシークレット・サンタとは具体的な商品名をあげたプレゼント交換をする場所では無く、何か相手の事を想ったりして、気の利いていたりサプライズでネタ的なものを渡して盛り上る会なのだろう。

 

わからなくはない。

 

シーラとしてもBOSSのスピーカーが本当に欲しかったのだろうし、シークレット・サンタをバラされた上に信頼もしてもらえないというのは悲しかっただろう。

 

わからなくはない。

 

 

 

スタンスのとり方の悪さ、国籍文化の違い、価値観の違いの認識への軽視から自分で招いた結果とはいえ、ここまで複雑にもつれるとは思わなかったので、この事はシークレット・サンタ事件として今でもスパガールと付き合う時の自分への教訓としている。

 

 

 

 

 

 

 

ということで今年最後のブログはこんな感じで閉めようと思います。

こんなブログや僕を応援してくれるみなさん、いつもありがとうございます。

そして来年もゆるーく、書きたい事を思いついた時に書くという強い決心を持ってやっていきますので変わらずよろしくお願いします。良いお年を!

 

 

 

 

 

より詳しく豪華客船の仕事について知りたい方はこちらをぜひどうぞ

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