カリブ海にて考え中 Thinking something in Caribbean

豪華客船で起こる色々な事。

仕事を辞めたい感情

どうもリョウタです。

豪華客船での仕事中、契約の途中でどうしてもやめたくなる程つらい瞬間がやってくる事がある。それがまさに今だ。

今この契約は5回目の契約で、日本人の豪華客船鍼灸師の中でも古株になってきているけど、それでもこの感情は定期的にやってくる。

今現在オーストラリアから日本へ帰る航海の途中で、ところどころポートには寄るのだけれど、通常のクルーズに比べれば大分シーデイ(終日航海日)だらけの毎日を過ごしていて
、前のクルーズから換算すると14日中、2日しかポートデー(船が港に着く日)が無いというシーデイだらけの毎日をここ最近過ごしている。


シーデイは基本船で働くクルーにとっては忙しい。
僕個人でいうと、シーデイでは大体15人程度の患者さんを治療して、一人に対して20本の鍼(はり)を打っていたとすると、この2週間で打った鍼の数は単純計算で3,600本を超える。

鍼を打つという作業のバックグランドにどれだけの労力が隠れているか簡単に説明させてもらうと
予約の時間を一人45分で取っているので、その間に患者さんを5分で問診し、5分で色々な徒手検査にかけ、痛みがどこからきているのか診断し、10分で鍼を打ち、15分寝かせ最後の10分で評価をする。

言葉にするとすごく事務的な流れだが、もちろんこの中にはかなりの思考作業も含まれる。

例えば腰痛の場合
この腰痛は沿って痛い腰痛だからうつ伏せにねかせない方が良いな。
とか
このタイプの痛みは痛い所に鍼すると余計悪くしちゃうから打たない方が良いなとか
そんなこんなで、自分の経験則からその患者さんにとってのベストな治療体位とか、治療穴を速攻で選定する。

それに加えてシーデイにはセミナーという大勢の人前で話す機会というものもあって、鍼灸師はかなりゼネラリスト的な働き方を求められる。


自分が不器用なだけかもしれないけれど、とてもじゃないがこんなシーデイだらけの毎日で遊んだりする余裕なんて無くて、最近は自分の職場と部屋の往復で、ほとんどクルーバーに言ったり、パーティーに全く出なくなる
というかご飯を食べるのも面倒臭くなって、仕事が終わると死んだように寝ている。
仕事が忙しくてつらいなんて1stコントラクトの時の自分からしたら7往復半くらいビンタしてあげたいほど贅沢な悩みだけど、でもつらいものはつらいんだからしょうがない。



それでいて
みんな今頃パーティーで楽しんでるのかなー
とかそういう事を考える自分と、寝ている自分が分裂していてつらい。

自分の体調がベストでない中で患者さんに接すると、流れ作業的になってしまい自分の中で治療結果や患者さんの満足度が違うのを肌で感じるのがつらい。

英語の勉強もしたいし、ジムにも行きたいのに
なりたい自分と実際の自分のギャップがあってつらい。

そうなってくると自分がますます惨めに感じてきて、スパの同僚との中もギクシャクしていき

もうこんな仕事やってられるかー!

って辞めたくなるけど

ふと、こんなつらい事だらけのここ最近の毎日で、じゃあ何で自分って豪華客船で働いてるんだっけ?
と原点に返る時がある。

それは辞めたくなるほどつらい契約や、膨大な自由な時間のあるバケーション。まるで灼熱地獄と極寒地獄のような生活をここ数年過ごして来た中で

つらい事は不幸ではないし、逆に楽なことは幸せではない。
という実感からきていると思う。

将棋の羽生善治さんも
「タイトル戦の終盤、すごい強敵を前に死にそうに疲れながら将棋を指していると、生きているっていることをつくづく実感する瞬間がある。その瞬間を味わいたくて、自分は将棋を続けている」

今の自分は将棋に比べれば、肉体的な疲れの方も関係してくるのだろうけど、決して安くない治療費と、豪華客船での貴重な時間を削ってまで来てくれたのに、治りが良くない患者さんの事をあれやこれやと色々考えたりする精神的な疲れと、セミナーに治療に走り回る肉体的な疲労のなかで
生きてるー!!
って実感できる瞬間が時折やってくる。


その達成感はほんとうに何物にも変え難くて、全世界の全てが自分に対して
頑張ったね!
と笑顔で拍手を送ってくれているような気分になり(別にあやしい薬はやっていない)
だからこそこんな死にそうな毎日の中で辞めたくなるくらいしんどい自分にムチをうって、自分は生きているという実感をつくづく感じたくて頑張っている自分がいる。

1ヶ月週7日働く生活が続けば、長期の休み欲しーってなるし
1ヶ月まるまる休んで、仕事しないことが日常になるとそろそろ仕事してーってなる。
仕事とオフのバランスが極端なこの仕事だからこそ、身をもって気づけた感情なのかもしれないと思うと、やはり結論自分はこの仕事に感謝せざるをえないのかなと思う。


先日、治療室の窓から広がるグレートバリアリーフの綺麗な海を見ても、心が何も感じなくなった自分がいて
忙しいっていう漢字は、心を亡くすって書くけどその通りだなー
なんて妙に納得して
そのとき気持ちを残しておこうと思ってブログを書いてみた。

 

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とりあえず今はつらいけど後から
もっとやれた。とか
楽しめばよかった。
なんて思わないように目の前の事一つずつこなしていこうと思う。

あとちょっと頑張って、しっかり休んで亡くした心を取り戻そう。

 

 

 

 

 


今色々な日本人クルーにお話を聞いていて、本の内容が近々グレードアップする予定です!
良かったら読んでみて下さい。

https://www.amazon.co.jp/dp/B076D5ZWPH/ref=sr_1_1?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1507859998&sr=1-1&keywords=豪華客船